居酒屋で生ビール3杯。飲み会中もトイレに何度も行った。なんなら、入れた量より出した量のほうが多い感覚すらある。帰宅して水を2杯飲んで寝た。
なのに翌朝、体重は0.4kg増えていた。
「出した量より入れた量のほうが少ないはずなのに、なぜ増える?」これは飲み会経験者なら誰でも一度は経験している矛盾だ。
答えは、抗利尿ホルモン(ADH)の乱高下にある。
ADHの3段階の動き

体内の水分バランスを調整しているのがADH(抗利尿ホルモン)だ。アルコールはこのホルモンの分泌を強く揺さぶる。
Step 1: 飲酒中
アルコールがADH分泌を 抑制 する。腎臓は普段なら水分を再吸収するところを、どんどん尿として排出する。
これがビール中のトイレ頻回の正体。「水を出してる」というより、「水を引き止められなくなっている」状態だ。実は、体は脱水方向に進んでいる。
Step 2: 飲酒後(就寝中)
アルコールが体から抜けていくと、体は急に「ヤバい、水分が減っている」と気づく。ここでADHが リバウンドで過剰分泌 される。
腎臓は一転して水分を必死に保持しようとする。摂取した水分も、体内に残った水分も、できるだけ手放さない。
Step 3: 翌朝
過剰保持された水分で体重が増える。さらに、アルコール代謝で疲弊した肝臓は塩分の処理も遅れがち。水分と塩分のダブルパンチで、むくみが完成する。
つまり、飲み会の翌日の体重増は 「飲み会中の脱水→翌日の過剰補水」のリバウンド現象 なのだ。
増えた0.4kg、脂肪は何g?
増えた体重の中身を分解すると、こうなる。
| 内訳 | 量 |
|---|---|
| 水分(ADHリバウンド) | 約350g |
| 塩分関連の水分貯留 | 約100g以下 |
| 糖質由来のグリコーゲン結合水(ビールの場合) | 状況による |
| 脂肪 | 約50g以下 |
増えた0.4kgのうち、脂肪はわずか50g以下。残りはほぼ全部、2〜3日以内に体外に出ていく水分だ。
ビール vs ハイボール、何が違うのか

同じ飲み会でも、選ぶ酒で翌日の体重への影響は変わる。
| 項目 | ビール(中ジョッキ1杯) | ハイボール1杯 |
|---|---|---|
| 糖質 | 約10〜15g | ほぼ0g |
| グリコーゲン結合水 | 30〜60g追加 | なし |
| アルコール量 | 同等 | 同等 |
| ADHリバウンド | 同様に発生 | 同様に発生 |
ビールには糖質が含まれているので、グリコーゲン結合水の分だけ翌日の体重がさらに重くなる。「ビール3杯で翌朝+1kg」になるのはこのためだ。
ハイボールに切り替えると、糖質分の上乗せがなくなる。アルコールによるADHリバウンドは避けられないが、ビールほどには増えない。
翌日のリカバリー
翌日に増えた体重は、ほぼ水分。だから水を飲めば出ていく。
- 起床後すぐに水を500ml
- コーヒーを1杯(カフェインが利尿を促進)
- 1日トータルで2.5L程度の水分補給
- いつもの食事を続ける
これで48時間以内には元の体重に戻る。
「飲み会で太った」は誤解
飲み会の翌日に体重が増えると、「やってしまった」と落ち込む人は多い。でも実際は、増えた分のほとんどが水分で、3日もあれば消える。
脂肪として残るのは、せいぜい数十g。これは1日の食事を1食調整すれば、簡単に帳消しにできる量だ。
ビールの翌日に体重が増えるのは、太ったからじゃない。ADHが揺さぶられて、水分が一時的に体に溜まっているだけ。
これを知っていれば、飲み会の翌朝に体重計に乗っても、必要以上に動揺しなくて済む。

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