「糖類0」と缶に大きく書いてある。健康に気をつかってこれを選ぶ。だが裏面の栄養成分表示を見ると、糖質の欄に「1.2g」と書いてあった。
これは表示ミスでも詐欺でもない。「糖類0」と「糖質0」はまったく別の言葉で、糖類が0でも糖質はしっかり残ることがある。多くの人がこの2つを同じ意味だと思って買っている。
糖類と糖質は包含関係にある
まず言葉の整理から。糖質という大きな箱の中に、糖類という小さな箱が入っている。
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| 糖質 | 糖類 + でんぷん + 糖アルコール + オリゴ糖 など |
| 糖類 | 単糖類(ブドウ糖・果糖)+ 二糖類(砂糖・麦芽糖など) |
つまり「糖類0」が保証しているのは、砂糖やブドウ糖・果糖がゼロということだけ。でんぷん由来の糖や、果汁に含まれる成分、オリゴ糖などは「糖類0」のまま残っていられる。
血糖値を上げ、最終的に脂肪になりうるのは糖質全体だ。だから本当に気にすべきは糖類ではなく糖質のほうにある。「糖類0」という表示は、いちばん知りたい数字を答えていないことがある。
同じ「糖類0」のノンアル缶を3本並べてみる
ここからが本題だ。市販のノンアル飲料を、栄養成分表示の数字で比べてみる。すべて「糖類0」を満たしている商品だが、糖質の値はバラバラになる。
| 商品タイプ | 糖類 | 糖質 | 甘さの出し方 |
|---|---|---|---|
| ノンアルビール(オールフリー系) | 0g | 0g | 甘味料ほぼなし |
| ノンアルチューハイ(のんある気分系) | 0g | 0g | 人工甘味料で実現 |
| ノンアルレモンサワー(濃い搾り系) | 0g | 1.2g | 人工甘味料で実現 |
注目してほしいのは3番目だ。「糖類0」なのに糖質は100mlあたり1.2g。350ml缶なら約4.2gの糖質が入っている。同じ「糖類0」の棚に、糖質0gの缶と糖質4.2gの缶が並んでいるわけだ。
なぜ糖類0なのに糖質が残るのか。この商品はレモン果汁入りで、甘さ自体はスクラロースとアセスルファムKという人工甘味料で出している。それでも糖質が1.2g残るのは、果汁由来の成分や、水溶性食物繊維を除いた糖質分があるからだ。砂糖を使っていなくても、糖質は別の経路で入ってくる。
食品表示の「0」は本当のゼロではない
もう一つ知っておくと武器になるルールがある。栄養成分表示の「0」は、完全な0.00gを意味しない。
消費者庁の食品表示基準では、100mlあたり糖質0.5g未満なら「0」と表示してよいと決まっている。だから「糖質0」の缶にも、最大で500mlあたり2.5g弱までは糖質が入っている可能性がある。神経質になる量ではないが、「0と書いてあるから完全にゼロ」と思い込まないほうがいい。
ノンアルビールでよく見る「カロリーゼロなのに糖質ゼロ、でも味はビール」という構成も、この表示ルールと甘味料技術の組み合わせで成り立っている。
ラベルの正しい読み方は3ステップ
缶を手に取ったら、表面の大きな文字ではなく裏面を見る。順番はこうだ。
まず糖質の欄を探す。糖類ではなく糖質だ。次にその数字に内容量をかける。100mlあたりの表示が多いので、350ml缶なら3.5倍する。最後に原材料の甘味料を見る。スクラロース、アセスルファムK、アスパルテームなどが書いてあれば、甘さは人工甘味料で出していると分かる。
この3ステップだけで、「糖類0」の文字に惑わされず、その缶に本当は何が入っているのかが読めるようになる。
「我慢じゃなく理解。禁止じゃなく選択。」
ノンアル飲料を全部やめる必要はない。むしろ休肝日の強い味方だ。大事なのは、表のキャッチコピーではなく裏の数字で選ぶこと。
糖質を完全に避けたい日は糖質0gの缶を選ぶ。糖質4gくらいなら気にしない日は、味で好きなものを選べばいい。糖質1.2gのレモンサワーが「悪い」わけではなく、それを糖質0だと思い込んで飲むのが問題なだけだ。
何が入っているかを理解すれば、禁止しなくても自分で選べる。「糖類0」の4文字を疑えるようになったら、もうラベルに振り回されることはない。
コメント