ダイエットで体脂肪が減ったとき、その脂肪はいったいどこへ行ったのだろう。汗として流れ出る? 便として出る? それともエネルギーに変わって消える?
多くの人が「エネルギーに変わって消える」と答える。お医者さんでもそう答えることがある。でも、これは間違いだ。正解は意外なところにある。
答え:脂肪の84%は「息」で出ていく

2014年、オーストラリアの研究者が世界的な医学雑誌BMJに発表した論文が、この問いにはっきり答えを出した(Meerman R, Brown AJ. BMJ 2014;349:g7257)。
脂肪10kgが分解されると、8.4kgはCO2(二酸化炭素)として肺から吐き出され、残り1.6kgは水になる
つまり、痩せたとき、脂肪の84%は呼吸で体から出ていく。残りの16%は水として、尿や汗、呼気として出ていく。
汗でドバドバ出ていくわけでも、便で出ていくわけでもない。脂肪は、静かに息として吐き出されているのだ。
なぜ「息」なのか?質量保存の法則で考える
不思議に思うかもしれないが、これは物理の大原則「質量保存の法則」で説明できる。
体脂肪の正体は「中性脂肪」という分子で、炭素・水素・酸素という原子からできている。この脂肪が分解(酸化)されるとき、酸素と結びついて、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に変わる。
脂肪 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水
理科の授業で習った、ものが燃える反応と同じだ。脂肪が「燃える」とは、まさにこのこと。そしてできた二酸化炭素は、血液に乗って肺に運ばれ、息として吐き出される。
物質は消えてなくならない。形を変えて、体の外へ出ていくだけ。脂肪も例外ではない。中性脂肪が分解される仕組みは「中性脂肪とは?」でも解説している。
「エネルギーに変わって消える」が間違いな理由
「脂肪はエネルギーに変わって消える」という説明が間違いなのは、質量保存の法則に反するからだ。
エネルギー(熱や運動)には重さがない。もし脂肪がエネルギーに「変わって消える」なら、その重さはどこへ行ったのか説明がつかない。実際には、脂肪の重さはCO2と水という、ちゃんと重さのある物質に姿を変えている。だから「消える」のではなく「出ていく」が正しい。
これは解禁日が大切にしている考え方そのものだ。食べ物も体脂肪も、ブラックボックスではない。すべて入った分は、どこかへ出ていく。その行き先を数字で見れば、ダイエットは怖いものではなくなる。
「たくさん息を吐けば痩せる」わけではない
ここで一つ注意。「脂肪が息で出ていくなら、深呼吸すれば痩せるのでは?」と思うかもしれないが、それは違う。
息を吐くために必要なCO2は、脂肪が分解されて初めて生まれる。先に脂肪が分解されなければ、吐き出すCO2は増えない。つまり、深呼吸を増やしても脂肪は減らない。順番が逆なのだ。
脂肪を減らすには、まず糖質を控えるなどして、体が脂肪を分解する状態を作ること。その結果としてCO2が生まれ、息として出ていく。
まとめ:脂肪は息になって出ていく
- 痩せたとき、脂肪の84%はCO2として肺から、16%は水として出ていく
- これは2014年のBMJ論文が示した事実
- 脂肪は「エネルギーに変わって消える」のではなく「物質として出ていく」
- 質量保存の法則どおり、入った分はどこかへ出ていく
- ただし深呼吸を増やしても痩せるわけではない
脂肪の行き先を知ると、ダイエットの見え方が変わる。減った脂肪は、毎日の呼吸とともに、静かに体から旅立っている。

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